日独な子供たち

エマです。

ちょっと忘れたくないな、と思ったので備忘録を兼ねて。

長男の日本語幼児教室で「ひらがな表を見て文字を読む練習を毎日する」という宿題が出ました。長男とお母様がドイツ人の男の子以外は、自宅での先取り教育や日本人家庭育ちなどで、4歳にして既に皆んな字の読み書きが出来ます。そうしたお子さんたちにとっては簡単なこの宿題、長男にとってはかなりハードルが高いのです。あいうえお〜という歌は少しは歌えるのに、「あ、の次は何?」という質問には答えられません(数字も同様)。

ひらがな表の前に「新トーマスとあいうえお」を持参した長男。これじゃ練習にならないと言われればそうなのですが、宿題をやる気になってくれただけでもヨシとしよう。私と一緒にひらがなを読みました(ほとんどトーマスが読んでくれましたが)。

 

音とカードでおけいこ! 新トーマスとあいうえお ([バラエティ])

音とカードでおけいこ! 新トーマスとあいうえお ([バラエティ])

 

昨日は旦那が長男と宿題を一緒にやってくれました。旦那は日本語が話せませんが、ひらがなで五十音位は何とか一通り読む事が出来ます(柔道の指導者なので、身体の部位と技の名前も言えます)。

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我慢強い旦那は長男に懇々と説いて聞かせて、宿題を進めています。短気な私には中々出来ない事。

その間、私はそんな彼らの会話(ドイツ語)に耳を傾けながら、台所で夕食の後片付けをしておりました。

「ママと自分と弟は日本人、パパはドイツ人なんだよ」

「違うよ。ママは日本人だけど長男と次男は違うよ」

ここで私の耳はダンボに。屹度ハーフって言うぞ、と思いながら。そしたら思いがけずに違う言葉が。

「貴方たちは日本人とドイツ人、両方だよ〜」

おおおお、そう思ってくれていたのか。旦那の言葉に感慨深く私の中に沁み入ってゆきました。

ドイツでは日独混血の場合、Halbjapaner (半分日本人)、Halbdeutscher (半分ドイツ人)という言い方をします。これだと、どっちでもない、中途半端な人という捉え方が出来、所謂ハーフの人はこの表現を嫌がります。以前、日本語プレイグループで一緒だった日独ハーフの日本語が完璧なパパさんに、ご自身がハーフとしての経験から、ハーフと呼ばれる事をぶっちゃけどう思うか、どう思ってきたのか、これからドイツで成長してゆく我が子たちの後学の為に訊いてみました。やはり半分、という言葉には語弊があり好きではないそう。そして照れながらこう続けてくれました。

「自分で言うのも自慢みたいでアレなんだけど、僕の父は本当に素晴らしい人でね。その父がね、僕に"お前は半分日本人、半分ドイツ人ではなくて、両方持っているんだよ"って言ってくれて。凄く嬉しかったんだ」

これがドイツ人的な考え方なのかはわからないし、「ハーフ」という言葉に対する模範解答なのかは分からない。でも、こうした言葉がすらりと口から出てくるというのは、そのひととなりが表れているようで。

だから、同じ考え方で「貴方たちは日本人とドイツ人、両方だよ〜」と言ってくれた旦那は尊敬出来る人。これからの長い人生の中で、差別されたり苦しい時や悲しい時、屹度父の言葉に救われたり慰めとなるに違いない。

私はこの日のこの父子の会話を心に刻んでおこう、そう思いました。

 

サンドラ・ヘフェリンさんのコラムも為になります。

ハーフを考えよう | サンドラ・ヘフェリン