治安と危機管理

エマです。

今回は記録をかねて長文です。

私たち家族は都心部の繁華街に賃貸住まいしています。金融街の割に意外と治安は悪くはなく、小さな子供のいる家族も結構住んでいる。危険な場所というのはどの街にもあるものだけれど、そういう所に近づかないのも、危険に対する危機回避だと思う。テロの標的になりやすい街と言われて久しい。かといって、家に引きこもる訳にもいかない。だから事件等に巻き込まれないように、自分で危機意識を持つ事も大切。

元々ホームレスが多く、子供たちの行く公園はかっこうの寝床になっていて、煙草の吸い殻や酒瓶や王冠、割れたガラスとかが早朝は散乱しており、街中に住む弊害、とアンチ市内居住の旦那は公園へ行く度プンプン😡

それに加え、ジプシーやら難民流入で、新しいタイプのホームレスが増えたのも事実。戦火を逃れて来た人々、失業してしまった人々、様々な理由でホームレスになってしまった人々がいるのは理解出来るし、衣食住に困らない私たちは単に運が良かっただけかもしれない。ただ、難民問題などで色々な異文化や価値観が混在するようになって、理解に乏しい私たちは、そういう人たち(酔っ払い、薬でおかしくなっている人やお金を無心してくる人も)に対してやっぱり身構えなければならないのが現実。特に子供が出来てからは、もっと気をつけるようになった。

ある週末の午後遅く、出不精の長男と旦那を家に残し、次男と街へお散歩。いつも行く銀行の側の、噴水のある広場で少し遊んで帰宅する予定だった。噴水広場に到着した時、恐らくロマか難民のホームレスの青年がバギーに乗った次男をやけに凝視。可愛いと思ってくれたのかもしれないけれど、追って来るようなその視線に嫌悪感を感じて、睨み返した私。その青年も私の視線に気づいて、でも次男から視線を外さずに近くの腰掛け用のコンクリートに移動。その時、私は次男を連れて真っ直ぐ帰宅すべきだった。ただ、私も側に付いているし、周りにも沢山人がいて、何より次男を遊ばせてやりたくて、次男をバギーから降ろしてしまったのでした。

其処は地面に埋めてある複数の穴から、時間差で水が吹き出てくる噴水で、長男にも良く遊ばせている子供に大人気の場所。普段長男が遊んでいる時にバギーに縛られている次男。初の噴水デビューに嬉々として遊ぶ1歳5ヶ月の幼子は誰の目から見ても 微笑ましく、さぞ可愛かったに違いない(親バカですね😅)。

携帯電話の弊害は、隙が出来るというに限る。よく女の子の夜の一人歩きは危険、ヘッドホンを装着して携帯電話をいじりながら歩くのは隙だらけと言いますね。それと同様に携帯電話を使っていると前後不注意になりやすい。その時の私は可愛い息子の写真を撮って旦那に見せてあげるつもりで、携帯電話を次男に向けていたのでした。

何枚か撮り終えて、携帯電話を鞄に仕舞おうとした矢先、私は背後から真横を横切る人物の気配を感じて、身構えて慌てて顔を上げた時には遅かった。先程のホームレスの青年が、次男に背後から近づいて右腕をつかみ、その手の甲に唇を押し付けたのである。危害を加えられるのを恐れ、私はキョトンとしている次男を抱きすくめて、何をするのかと怒鳴りつけた。この時の私の感情は怒・怒・怒。相手は驚いて何か言おうとするも、我々の言葉を解せないし、私も彼の外国語を理解出来ない。そして四の五の言うなら警察を呼ぶよと言う私の余りの剣幕に、彼はスゴスゴとその場を去って行き、私は一応彼の行く先を目で追っておく。

以前なら人見知りでギャン泣きするであろう次男は急展開に相変わらずキョトンとしており、私は急いで次男を抱きしめて、その手を除菌用ウェットティッシュで拭いてバギーに乗せる。それから遠巻きに例の青年が何処に移動したか確認。そして近くの警察官や保安官の溜まり場へ足を伸ばしてみたものの、もう午後も遅くて誰もおらず。私としては、危害を加えられた訳ではないけれど、こういう場合、どういった対応をして貰えるのか知りたかった。注意だけになるのか、告発可能なのかとか。された事はハラスメントだし、子供を持つ親なら分かると思うが、見知らぬ人に突然あんな事をされてどれだけ恐ろしい思いをしたか。もし相手が殺意を持っていたらと思うとゾッとする…笑い事では済まされない。

話を聞いてくれる人がおらず、肩透かしをくらったものの、取り敢えず家路へと向かう。歩いているうちに少しずつカッカした頭も冷えてくると、色々な考えが浮かんできた。あの20歳位の青年は、最初に我々に目を向けていた際、何か言いたげだった。次男が可愛いね、と言いたかっただけかもしれない。そして彼には実は故郷に次男位の年齢の自分の子供や幼い弟妹がいたり、難民受け入れの関係で家族と一緒に住めなくて、次男の姿にそれらを重ね合わせて見ていたのかもしれない。私だって、彼があまりにヤバそうな人だったら、すぐに次男を抱えて逃げたと思う。

しかし、色んな国には色んな価値観があるように、私が住むこの国と私の中では、親の了解を得ずに、赤ん坊や幼児触るという行為は御法度。マナー違反だし、ハラスメントと言われかねない。赤ん坊や幼児を連れて歩いていると、声をかけてくれる人、手を振ってるくれる人は沢山いて、それは気にならない(赤ん坊が泣き止まないと、あーでもないこーでもないと干渉して指導しようとする人も稀にいる。ほっとけと思う)。それだけに、何を触ったか分からない手で、他人の子供に触り、何か病気かもしれないのにキスをする。それ位と思うなら、是非自分の子供がされたいか、されたらどんな気持ちになるか想像力を働かせてみて下さい。子供がいない方も自分自身がされたら、と立場を置き換えてみて下さい。

帰宅して、アパートの前で入口の鍵を出していると、品の良さそうな老夫婦が立ち止まって、次男を見て「可愛いわね」「そうだね」と私と次男を見てキチンと視線を合わせながら言葉をかけてくれました。これが、ここでは普通で、私も素直に次男を可愛いと言ってくれた事に感謝して「有難う」と返す事が出来る。嬉しい気持ちでいっぱいになる。先刻の事にモヤモヤしていただけに、最後の最後で、ホッと出来た。先程の青年には申し訳ないけれど、やっぱり私の価値観とは相容れないの、ゴメンね。 

今回学んだ教訓: 携帯電話ばかりイジらない。ちゃんと子供たちや周囲の状況に目を配る。

最後に、次男の手を掴まれた時の最終ショットを。消去しようかと悩んだけれど、何かの際の証拠及び自分への戒めとして。

長々と最後まで読んでくれた方、有難うございました。

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